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さよならなんて、言えないよ…
本日、トイ・ストーリー3を3Dで鑑賞してきました。
各メディア大絶賛の嵐でしたが、まぁそんなのは個人的にはどうでもよく、いかにこの名作をしまいこむのか…その一点に集中してみてきました。
さて、少し順番が前後しますが、1と2の予定地を用意して、先に3の感想を。
ネタバレです。
<トイ・ストーリー3>
あれから11年。
アンディがいよいよ大学生となり、おもちゃたちにとってはついにその時がきた。劇中でも今と同様の時間が流れていて、それを十分に生かした舞台。さて、それでは結末は…?
まぁ、ストーリーは多くは語らずにおきましょうか。
まず3Dについて言及しましょう。
はじめてはトイストーリー3。個人的に、これがしっくりきたので3Dで視聴しました。開始前に、ある短編アニメーションが流れます。これはおそらく、3Dの映像を堪能するうえでは極上の一作。奥行き感が抜群です。
飛び出してくるほどではないですし、何よりメガネの装着感が今一つで、まぁ次は良いかなぁと思いました。そして何より、映画は脚本。
このトイ・ストーリー3において、3Dかどうかはどうでもよいと思ってしまい程に脚本に吸い込まれる。
圧倒的な完成度。
圧倒的な感動だった。
ウッディが活躍するアンディの遊びの後…現在。おもちゃたちが結構減っていて、なんだか閑散としたアンディの部屋。おもちゃの心情を察してしまうような出だしにまず引き込まれました。
途中で色々とトラブルが発生するんですが、今回は結構な悪役が出てきたのでびっくりしましたね。仲間を信用せず、保身に満ちた今回の敵は、ウッディとは対照的。今までおもちゃ同士の対立構造はすくなかったんですが、今回は性格の面でより明確になっていますし、そういうこともあってウッディ=主人公が際立ち、ラストにふさわしい作品になっていると強く感じました。
ジェシー、バズ、ポテトヘッドなど相変わらずキャラの描き方は秀逸。新キャラも短い時間ながらしっかり書き込みが完了している。新しく出てくる女の子はとても重要な役なのですが、彼女にしっかり好感が持てるような演出が随所に盛り込まれていて(恥ずかしがり屋なところや、おもちゃをとても大事にしているところ。性別は違っても、見ている人は「あ、アンディだ」と感じるはずです)、映画のフィナーレを完璧なものへ導くお膳立てが完了している。
魅力的なキャラクターと動きのよい演出で子供を引き込み(もちろん大人も)、シナリオもしっかりしているので毎度のように、いえ毎度以上に楽しむことができます。破たんなく、テンポよく…まるで映画のお手本のようなクオリティです。
そしてエンディング。
おもちゃたちと、そしてアンディは決断を下します。
ここは涙なくしてみれませんでした。そこで、私たちの中でも彼らの活躍がプレイバックされるわけです。1と2の、様々なできごとが思い出される。
そして最後。アンディは言います…
「ウッディの一番すごいのは、決して仲間を見捨てないこと」
うろ覚えですが、たしかこういうことを。アンディを信じ、おもちゃを導いてきたウッディ。この彼の性格は今作の対立軸のカギとしてより明確になり、3部作中屈指の、心に染みいるこの言葉につながるわけですね…。
悲しいんだけどすがすがしい。
道は違うけど、新しい道へ進む。これだけだとありきたりな結末。
おもちゃたちにはいくつかの選択肢があり、いくつかの終わり方があった。
当初のように、ウッディだけは大学へ行き、他の仲間は屋根裏で将来を待つ。
もしくは、託児所へ寄付されてそこで十分に「遊んでもらう」。
アンディと皆で大学に行く。
ウッディも含めて捨てられてしまう。
そんな無限とも思える結末の選択肢の中で、脚本が選んだ道。
ありきたりだし、想像の範囲内。だけれど、この2時間が…いままでの3時間が、それら推敲に推敲を重ねた物語の全てが、結末に深みを与える。魅力的なキャラクターが、悲しみそして勇気を与えてくれる。
だから、こんな当たり前な結末がグッとくる。グッときましたね。
映像技術ばかりが先行していて脚本が空っぽ。
CMは面白いのに結末がしりすぼみ。
そんな映画が連発される中、ピクサー社はCG技術は二の次。死ぬほど脚本を推敲して、作品を世の中に出してくれる。飽きない演出。美しい映像。しかし何よりこの社の映画の魅力は、心に残る圧倒的な脚本の完成度にあると思う。
3作目にして、一度も失速することなく「続編」という高いハードルをはるか高く越えてくるこの職人芸ともいえる映画へのこだわりはすさまじい。やはりしばらく、ピクサー社が映画の頂上を席巻し続けるだろうと思えるほどに、すがすがしく感動的な作品であった。
「あばよ、相棒」