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(総評)
コメディータッチなので軽い気持ちで見れて、画も洗練されて良い具合だが、後味はそんなによろしくない映画。いや、その後味まで含めて「観客それぞれ」というメッセージは伝わってくるのでそこは難しいところだが、少なくとも作中でのライアン(ジョージ・クルーニー)の心理変化については描写不足で不満が残る。
(粗いあらすじ)
映画の中の世界においても、2008年というのは不景気まっただ中。主人公ライアンは、アメリカ中を飛び回り、あらゆる企業の従業員に解雇を告げる解雇告知人のエリートとして生きていた。住む家は生活感のまるでないアパート。一年のほとんどを出張で過ごし、本当の「家」と呼べるものは、空港と、飛行機内だけ。そんな彼の人生の目的は1000万マイルを貯めて、終身名誉会員になることだった。
順風満帆に進んでいた彼の人生だが、「ネットワークを利用しての解雇通知。つまり、出張が不要になる」という新入社員の女性社員の提案が採用されることで、波乱を見せることになる。
(こまかく)
空港のサービスを使いこなし、優雅で気ままな生活を堪能する主人公の映像はすごく面白いし、憧れる面もあります。この映画の大きな魅力はここだと、個人的には思います。
メッセージとか脚本については、総評に記したことが全てというか…。
人の温かさとかを描くというメッセージがあるらしいのですが、弱いのでは。様々な要素があるのですが、それらの向かう方向、示したいメッセージというのがバラバラに感じるので、結局「恋愛」や「人間」に振り回されて「軸」がブレブレになってしまう男の半生を見せられておしまい、と僕は感じました。
というのも、J・クルーニーの心理変化の描写が弱い。序盤で「軽い付き合いだ」と言っていた男が、23歳の小娘のジャブを浴びて行く中で、そして妹が結婚するのを見て徐々に「あれ、結構いいんじゃね、そういう人生も」と思って変わる…というものなんですが、これまでかたくなに「わが人生」を貫いてきた男がこうも簡単に変わるものか、と言われれば、もう少しパンチの利いた展開があってよかったと思います。
もしくは、「人の温かさ」を押し出すのであればアレックスとはくっつくべきだったのでは。バツイチでも良いじゃない。人生で初めて本気で好きになった人と添い遂げる。これだと、メッセージははっきりした。
でも「はけ口」として利用されてたってのは「温かさ」とか逆なのでは…いや、それが「裏返しなのよ。はけ口ってのは愛情の裏返し云々…」とか恋愛の達人や心理学をたしなむ方の中にはおっしゃる方もいるのかもしれませんが、残念ながら自分には理解できない領域です。
まぁそれも、序盤のバリバリ前回のJ・クルーニーに、自分自身共感できる人間だからかもしれません。つまり、きっと、この映画から受け取るメッセージがどうとか、その強さがどうとかっていうのはまさに「個人差」によるものだとは思います。