[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
例に拠ってネタバレ。
「人類を、地球を想い、愛しすぎるあまり分かり合えなかった二人の男たち」
終局である。
宇宙世紀0093。シャア・アズナブルはネオ・ジオンの総帥となり、地球への隕石落としを開始した。「引力に引き寄せられた人間たちの粛清を-」抗するは、νガンダムを駆るアムロ・レイ、そしてブライト・ノアらが属するロンド・ベル。アクシズが地球へぶつけられようとする中、二人の男たちの決戦が始まる。
さて、まずはいきなり視聴者おいていきぼりの設定の多さです。毎度のことです。もう大丈夫です。ロンド・ベルは地球連邦から派生された機関で、エゥーゴ、カラバが反地球連邦組織として解体され、そこからメンバーなどが寄せ集められできた組織。ジオン残党などの討伐が主任務とされ、連邦には「NT部隊」よろしく煙たがられ、コロニーの人々からはティターンズと同認識を持たれるという板ばさみ状態。
ネオ・ジオンはシャア・アズナブルが総帥の組織。一度はエゥーゴに属し、地球の、そして人類の進化を見つめようとしたシャアだったが…。
結局、シャアはハマーンと同じ道を歩むことになったのである。人類、とりわけ地球連邦政府どもは地球の利権搾取ばかりを考え、一向に宇宙へ出向こうとない。そのような状態で、宇宙の支配をしている。このままでは、人類すべてがNTとなり分かり合える日など来るのだろうか。「ならば今すぐ、全人類にその知恵を授けてみよ!!」劇中の彼の言葉は、地球の限界と、人間の進化の遅さを物語る。その結果として、彼は、地球を、コロニーを案じた結果、人間の業を背負い、地球の反破壊を行う。
正義の敵は、悪ではない。正義の敵もまた、正義なのである。
シャア、ハマーンはまさにその典型だ。彼らの言っていることは真実。アムロやジュドーが言っていた事、人間がいつかニュータイプになれば、きっと解決できる。これも真実である。解決策は二つだ。しかし、その解決過程で、「遅かれ早かれ悲しいことがおきる」のである。
この作品、一度にかなり多くのことを扱っており、それでもしっかりとまとめられていて、その力量には感服だ。NTがどんなものなのか、という明確な答えがここに来てほぼ初めて語られるわけだが、これで今までのニュータイプ連中の行動原理がはっきりくっきり分かるようになる。
クェス・パラヤという少女は、シャアに共感する部分がある。それはまた、悲しいことである。
山ちゃんが出ていたこと。彼のMSがなんかかっこよかったこと。
チェインの死。ハサウェイの毎度おなじみヒステリック行動。チェインが死んだのは納得できなかったし悲しかったが、ラストシーンで「νガンダムは、伊達じゃない!」その台詞で救われた。アムロのチェインが作り上げたこのνガンダムは、地球を救ったのである。
そして、男二人の私戦の描き方もうまい。MSを降りての問答、戦闘も良かったし、武器を次々に破壊され、最終的に格闘戦。熱すぎる。ここでククルス・ドアンに習った格闘術が役立つとは…!また、サイコ・フレームがシャアからのリークであったという設定もたまらなくいい。シャアは、やはりアムロとの決着をつける気でいた。
悲しいのは、いろんな人が死に、アムロも、シャアも死んだというのに、おおもとの地球連邦政府が変わらない限り、第2のアムロ、シャアが出てきてしまうのである。現実世界でも考えるべき問題だ。
何から何までかっこよく、初代、Z、ZZと培ってきた地盤を活かし、それらも含めて伝えたかったメッセージも織り交ぜられ、うまくまとめられた名作であった。