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 皆がいて、俺がいる
 これからも、ずっと、ずっと―


 絶体絶命だった。ヤンチャーを強制的に降ろし、セブンチェンジャーは渾身の力を込めレッドロンと相撃った。「星史・・・王子を・・・頼む・・・!」
 シアンの圧倒的な戦力に、ダ・ガーンもなす術を失いつつあった。勝利のためには、もはや伝説の力しかない。
 厳光寺にセットされたプラネットエナジー活性化装置。もはや無理かと思われたその時、ひかるの、蛍の、ヤンチャーの、世界中の人たち、動物や、木々、海、空の全てが、それぞれの思いを共にした。湧き上がる金色の光。そして、いつしか勇者たちも光のエナジーとなり、ダ・ガーンに集まって行った。あふれだす力。

 「星史・・・」
 「分かってる。いよいよだ・・」

 巨大な光がシアンを吹き消し、光り輝く伝説の勇者ダ・ガーンはオーボス星へ向かう。もう、恐れるものなど何もなかった。「俺は明日を信じてるんだ・・・明日は、俺たちが作るんだ!!」

 

 1年という長い時間をかけ、多くのものを伝えてくれたダ・ガーンがついにフィナーレを迎えた。このブログでは2カ月にわたり実況してきて、間にPS3故障などを挟み大変だったが、無事に終えることができる。
 過去2作を経験した谷田部監督のお力はお見事だった。全体に一貫性を持たせつつも、決してそれが強すぎること無く、1話1話を素直に楽しめる。一話完結でもない、一貫したストーリーでもない、その間を行くことで、退屈な展開を防ぎ、予想外な展開がありつつも、全体としてみるととてもよくまとまっているという素晴らしい作品だった。

 そしてまた、魅力的な敵キャラクターも大きなポイントだ。敵のボスの手足として動くだけでなく、皆それぞれに意志があり、考えがある。
 <レッドロン>
 最初はただのおちゃめなメカマニアだったが、失敗から改造人間にされてしまう。最終的に撃沈した初期の敵メンバーは彼だけというのが意外だったが、そもそも好戦的なので本望か。彼のようなキャラクターは、前半と後半の色分けの象徴になりうる。レッドガイストは反則的な強さ。
 <ブッチョ>
 アヤシサーカスの団長しかしてその実態は。自分が蔑まれたことを忘れられず、自分だけの楽園を作るべくオーボスの手先となっていた。しかし、蛍に触れることで本当の自分というものに気付いてゆく。機械獣にジョアンナちゃん、蛍にジュラるディんちゃんなどと名付け、塩谷さん声優ということもありかなりキャラがたっている。
 <レディ・ピンキー>
 山本ピンク、マジカルピンキーの正体でかなりの女王様気質。星史の心に大きな穴をあけるという大役を担った。子どもからおばあちゃんまで、冬馬さんはさぞ大変だったであろう。傲慢にして自己中心的。物事の全てを損得勘定で考え、若さに執着するというひどい正確だが、物語終盤、彼女も星史と心を通わせるようになるというのはダ・ガーンならでは。ダイレクターを奪った回を担った功績は大きい。
 <ビオレッツェ>
 俺の大好きな幹部。真面目で策士なんだがおっちょこちょいがたたるなど、実は一番コメディに映えるキャラかもしれない。オーボスに心酔していたが、ついにその正体、目的に気付くことになり寝返る。オカマという反則的特徴を持つも、その意志は男の中の男。愛する者の為に命を惜しまないその姿に感動。「同じ宇宙に生きる」ということに共感しているなど、実は美しい心の持ち主だったのだ。

 初期幹部は本当に憎めない奴ばかりで、むしろ好感が持ててしまう。個人差はあろうが、俺に至ってはダグオンの敵キャラは全く覚えていないがダ・ガーンはよく覚えていた。そこには、子供心に訴える敵としての魅力が大いにあったということだろう。デブで緑、ピンクで女、紫のオカマと一見しての記号がはっきりしていて飲み込みやすく、深く味わうと様々な表情を見せるという描き方はお見事。
 <シアン>
 物語終盤から出てくる絶対悪オーボスの親衛隊。とにかく強い。エグゼブがどうとか、フォルツォイク親子がどうとかいうレベルじゃない。惑星を破壊しかねないGXバスターをはじく姿は印象的だった。
 <オーボス>
 宇宙そのものであり、我々人間の投影である。恐らくは宇宙の誕生とともに今までずっと生き続け、この宇宙の全ての歴史を見てきた存在。プラネットエナジーを集め、伝説の力を求める。伝説の力で全てを虚無に染めあげようとするが、実は死の願望があったのかもしれない。最後のセリフは「これで死ねるのか」。
 存在のもう一つの意味は、我々の投影だ。地球のエネルギーを我が物顔で吸いつくす存在。地球を危機に陥れる存在だ。

 勇者シリーズの中でも、ブッチョ、レディ、ビオレッツェのように、こちらに協力し改心していくという展開は類を見ない。罪は完全に許されることはなく罰は受けることになるが、勧善懲悪に終始しない、人間の優しさというものを描いている。
 
 <香坂春夫・つくし夫妻>
 ダ・ガーンがシリアスな展開になってもいやしてくれる貴重な存在。そして星史の生命線を担う存在でもある。なぜこんなおっとりした抜けている夫妻からしっかりしたひかるが生まれたのか?!いや、こんな夫婦だからしっかり育ってしまったのか?!ともかく、なんていうか、ほんわかしてて大好きですこの人たち。
 <根元巡査>
 「本官のパトカー!」本当に、街を愛し守る警官です。こんな警官がいる緑が浜がうらやましい。ダ・ガーンがシリアスな展開になっても笑わせてくれる貴重な存在。実はすごいど田舎の出身で、それでも警察官という仕事に誇りを持っているから頑張っている、というあのエピソード一つで、その人を深く見れるんですよね。始末書だらけでパトカーもなければろくに仕事も出来なくて大変だったけど、最後にダ・ガーンとお話できて報われました。ブッチョのウサギをバタバタとなぎ払うその姿は、動物愛護団体とやらが騒ぐんじゃないかと冷や冷やした。
 <桜小路蛍>
 この子がいなければ星史は成長のカギを得ることができなかったし、伝説の力も発動しなかっただろう、自然と心を通わせることができる不思議少女。星史にアドバイスをしたり、ブッチョに説教したりと、貧相な外見とは裏腹、強い意志を持るインパクトのある存在です。ひかるとダブルヒロインなのか?!と思いきや蛍は正統派の不思議系で、どうにもこうにも・・・。彼女自身も、星史やひかる、ヤンチャーとともに闘って友情を深めていくことで、大きく成長していますね。すごく笑うようになったし。これからも皆仲良くいてほしいです。
 <香坂ひかる>
 正真正銘、星史の嫁さん。しっかりしていて男勝り。だけれど、誰よりも星史のことが心配だし、星史がデレデレしてるとイライラしてしまう。・・ツンデレか!!いや、少し違うか。「誰かを守る」と考えた時に、星史が真っ先に想い浮かぶのがひかるなんだと思います。いつも近くにいすぎて気付かない大切な存在。うっとおしいと思っても、ふと考えると、すごく大切な存在。そんな大事なポジションに彼女はいますね。喜怒哀楽があって強く、見ていて楽しい少女。ピンクへの嫉妬とか、本当は本当に星史が好きなんだと思う。
 <ヤンチャー>
 星を滅ぼされたという事実を星史に持ってくる大事な役目。最初は野性味たっぷりだったが、ヤンチャーも地球人と触れ合うことで、次第に成長していく。父親と母親、いやそれどころか故郷ごとおさなくして失くしているので、人間と分かち合うということに、実は欠如していたのかもしれない。(それでも、セブンチェンジャーの教育は功を奏しているはずだ)星史の家庭をしごくうらやましがり、香坂夫妻の手料理をうまいうまいと食べるその姿に、少し心が痛む。
 <高杉光太郎、美鈴夫妻>
 偉大なる父親、地球防衛機構大佐である。星史の正体にはやく気付き、ダ・ガーンに協力を要請しては広い心で信じあうことができる非常に理解のある方。オーボス星でもたじろぐことなく敵と渡り合い、どんな窮地でも崩さぬその表情、まさに軍人の鏡である。一方で、ときたま帰ってきては真顔でギャグをぶっとばすというおちゃめな面もあり、忙しい中でも星史に剣道の稽古をつけるという父親の鏡でもある。
 そして美鈴は敏腕ニュースキャスター。とにかく料理がどうしようもなく、家をあけがちだが、その一方で誰よりも星史の心配をしている。星史が家事得意になったことに心を痛めているが、これが実は確信犯だったりする。しかし、星史がへこめばそこは母親。星史に最後の力を与えてくれたほかならぬ人物である。母の力は偉大。

 <セブンチェンジャー>
 ひたすらに王子ラブ。王子の勇者であり、父親でもある。ダ・ガーンに引けを取らない苦労人だろう。復活するも故郷を守れなかったという枷に、ずっと苦しめられてきた。敵として登場しセイバーズを死に至らしめるなど圧倒的な強さを見せていたが、味方になるころには敵の勢力も協力になり、パッとした活躍は見せれられないでいた。そして見所は何と言っても最終回。最後の力を振り絞ってのレッドロンとの玉砕、ヤンチャーの絶叫は多くのファンを泣かせたことだろう。彼がいつしか星史やダ・ガーンと打ち解け合っていく様は、とても面白かった。
 <ランダーズ>
 「ラァァアアアアアアアアアアアンド、バイッソン!!」でおなじみ、口の悪いランダーズ。セイバーズ正反対の正確にすることで、双方とも個性が際立っている。リーダーが脚部担当など、かなり珍しい合体方法を持つ。そのパワーたるや絶大、いやそれ以上に固いものでもそれ以上固いものと気合ぶつけりゃなんとかなるだろ!!みたいな元気は星史の心を強く後押ししたはずだ。
 <セイバーズ>
 ランダーズとは対照的な礼儀正しき空の勇者たち。ジェットセイバーなのかジャンボセイバーなのかリーダー争いはあるが、俺はずっとジャンボセイバーだと思っていたぞ。セブンチェンジャーにやられるも、ペガサスセイバーにパワーアップして登場。このペガサスセイバーは勇者史に残る挑戦であった。あとにも先にもこの合体方法は存在していない。飛行能力と安定した戦闘能力は、きっと星史も頼りにしていたはず。残念なのは、必殺技のバンクが佐々門作画だったこと・・かわいそうに・・・。ちなみにCDドラマでも彼らの一幕は笑必死だ。
 <ガ・オーン>
 「酋長、疑う、よくない」キリマンジャロの勇者ガ・オーン。ダ・ガーンがアフリカにいる間、星史の一番勇者として地球防衛の任務を担った。さびしがりやで無口。きっと皆好きだったはず。その強さたるや絶大。しかし、Gダ・ガーンGX登場後は完全なツールに化してしまい残念だった。
 <ダ・ガーン 高杉星史>
 我らがリーダーダ・ガーン。本当に勇者らしい勇者。カタブツとも思えるほどのまじめな性格で、星史を信頼し続けていた。星史とはやっぱり、親友っていう間柄が一番いいのかな。実は、根元巡査に迷惑をかけつづけていたことを気にしていた。ブレストアースバスターやGXバスターなどの超強力技をはじめ、技のバリエーションはかなりある。
 そして隊長、高杉星史。まさに主人公の中の主人公。わがまま放題、地球のことより今日の晩御飯とかわいいあの子のこと~というようなまさに少年の中の少年。それがなぜかオーリンに選ばれ、勇者たちの隊長になった。数々の試練に見舞われ、そのたびに成長していく姿は、1年放送の醍醐味。地球の誕生からプランクトンの発生、そしてそれが魚になり、陸にあがり、多くの祖先がいて、今の俺がいる。そして今の俺をとりかこむひかるや蛍、ヤンチャー、父さんや母さん。自分はひとりで生きているんじゃ無く、皆がいて俺がいるんだ。ということを、辛く過酷な戦いを通して学びとってきたのだ。1話と46話の星史を比べれば、まるで別人である。なぜオーリンが星史を選んだか。それは、星史が信じる未来の可能性をダ・ガーン同様に信じていたからなのだろう。そして、ダ・ガーンやオーリンや星史たち若者に、自ら地球を考え、生命を考え、その上で彼ら自身で、進むべき道を歩んでほしいというメッセージを残したかったのだと思う。もちろん、ダ・ガーンはそんなこと一言も口に出さない。大事なことは、言わないものだ。それは、星史や皆が感じ取り、そしてこれから作っていくものだから。

 
 優しく、しかし深い声で、ひとことひとことが心に沁み込んでくる。
 「ダ・ガーン!!」
 お別れだ。もう。
 「君の言った未来を、私も、信じている」
 そう残し、ダ・ガーンは再び長い眠りについた。

 ダ・ガーンの最後のぬくもりを感じながら、星史は空を降りてゆく。その故郷の風が、星史の体を包みこんでゆく。見渡せば、自分の故郷。戦いでボロボロになっても、命の輝きできらめいている美しき緑が浜だ。
 ひしゃげたパトカーがきれいに突っ込んでいる厳光寺では、根元さんが、ひかるの父さん母さんが、団長が、蛍が、ヤンチャーが、そしてひかるが、俺の帰りを待っていた。

 ―みんながいて、俺がいる。今まで、これからも……ずっと、ずっと……!―


 伝説の勇者ダ・ガーン
 最終回 風の未来へ

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